12年やった芸人を辞め、株式会社フラワーズロマンスを経営していく人のブログ。

バンカラという梅田にある生バンドカラオケのお店で店長をしながら、「株式会社フラワーズロマンス」と言う会社を作りました。元芸人でフラワーズオブロマンスというコンビで活動していました。司会業、結婚式二次会プロデュース業、エンターテイナー派遣業、結婚相談所ホワイトブーケの運営も

【父親妄想日記2】

使命

芸人には前説という仕事がある。

 

TVの本番の前に、観覧に来てくれたお客さんを盛り上げて、本番の収録をやりやすくするするという仕事だ。

 

芸人はそこで特技を披露し、盛り上げることが多い。

 

嫁が陣痛に苦しんでいる時、僕は当時組んでいたコンビでテレビの前説の仕事をしていた。

 


嫁が分娩台で新しい生命を生み出すべく、圧倒的な痛みに耐えている時、僕は目の前のお客さんに「相方のおでこに吸盤をつけるという特技」を披露していた。

 


出産に立ち会う旦那さんも素晴らしいが、産まれて来るだろう子供の為にお金を稼ぐ。
それも素晴らしい出産への旦那さんの向き合い方でもあると思う。

 


奥さんが陣痛で苦しんでいる中、
警察官を仕事にしている男性なら「目の前の犯人を捕まえ、被害者を救う事に命をかける。」

 


…かっこいい。

 


消防士を仕事にしている男性なら「目の前の家事を鎮火し、1人でも犠牲者を少なくする。」

 


…かっこいい。

 


けど僕は目の前のお客さんに「相方のおでこに吸盤をつけるという特技」を披露していた。

 


…凄まじくまぬけだ。

 


陣痛で苦しんでいる嫁がいたたまれない。

 


電話で聞かれたらなんて答えたらいいんだ。

 


嫁「ぐ、く、くるしい。はやく、はやくきて!!!!!
なにしてるの!!??」

 


僕「…ごめんね。相方のおでこに吸盤をつけてるんだ。」

 


…言えない。口が裂けても言えない。

 


なんか分からんけど嫁のお父さんにもめちゃめちゃ怒られそうだ。

 


ただ、それぞれの職業には使命がある。見た目が滑稽であろうが、使命さえ果たしていればそれはかっこいいはずだ。

 


警察官の使命は目の前の悪事を取り締まる事。

 


消防士の使命は目の前の家事を鎮火する事。

 


芸人の使命は目の前のお客さんを笑わせる事だ。

 


ただ相方のおでこに綺麗に吸盤がつき、特技が成功した瞬間、お客さんの反応は
…ややうけだった。